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三ツ井 誠一郎
一般国道9号(鳥取西道路)の改築に伴う埋蔵文化財発掘調査報告書,17; 良田中道遺跡, p.221 - 230, 2015/03
2012年6月に鳥取市良田中道遺跡の古墳時代以降の水田土壌から出土した袋状鉄斧は、原形を留めるなど遺存状態が良好であった。この要因を調べるため、埋蔵環境と腐食状態に関する調査・分析を実施した。埋蔵環境として、湧水水質(酸化還元電位、溶存酸素濃度等)の分析、鉄電極の腐食速度(自然腐食速度)等の測定を現地で実施した。鉄斧の腐食状態については、X線CT装置を用いた腐食層厚の計測、ポータブルX線回折・蛍光X線分析装置を用いた鉄斧表面の腐食生成物等の分析を実施した。その結果、腐食生成物層の厚さはおおむね1mm前後であり鉄斧内部は金属鉄であること、表面に生成した菱鉄鉱(FeCO)が腐食反応を抑制していた可能性があることなどを確認した。